PS2時代のオープンワールドのマップはなぜ広く感じたのか|GTAの進化を考察

数字より強い 体感の広さを作った制約と設計思想

PS2時代のオープンワールドが異様に広く感じた理由を徹底解説。GTA3〜SAを軸に、面積では測れない体感の広さを設計思想と制約から検証する。Why did PS2-era open worlds feel so vast? This article breaks down GTA’s design, hardware limits, fog, gating, and UI to explain perceived scale beyond map size.

オープンワールドの広さ比較はいまや平方キロや移動時間で語られる時代です。
それでもPS2世代の街や荒野のほうが終わりのない世界に感じた人は多いはずです。
本稿は懐古ロマンで終わらせず面積と体感がズレる仕組みをPS2の制約と当時の設計思想から分解します。
読後に残る結論はシンプルでPS2の広さは偶然ではなく制約が生んだ構造でした。 

広いのに広くない問題を真正面から解く

広さは三層で決まる

広さの議論が噛み合わない最大の理由は広さという言葉が一枚岩ではない点です。
ここでは広さを三層に分けます。

一層目は面積で地図上の大きさです。
二層目は現実時間で移動に何分かかるかです。
三層目は認知でどれだけ世界が把握できないかです。

PS2時代は三層目が極端に強く、面積が小さくても体感が巨大化しやすい環境でした。
現代は逆に親切なUIと高速移動が二層目と三層目を強く圧縮します。

PS2というハード

PS2のメインメモリは32MBで当時の巨大な3D世界を丸ごと抱えるには厳しい容量でした。
この制約は遠景を薄くする、視界を切る、エリア境界を作る、ストリーミング前提にするといった手法を必然にします。
言い換えると見せない設計を組み込まないと広い世界は成立しにくい時代でした。 

制約があるからこそ作り手は体感を設計します。
この設計が後にPS2のオープンワールドを過去作として振り返ったとき、異様に広く見える理由になります。
広さは地図の大きさだけでなく見える情報量で決まるからです。

GTAの進化で押さえるPS2体感の転換点

PS2時代の象徴として語られやすいのはGTAの流れです。
2001年のGTA IIIで都市型の自由行動が一般層に浸透し、2002年のVice Cityで遊びの密度が上がり2004年のSan Andreasで郊外と長距離移動がゲーム体験として成立しました。 

この流れが重要なのは面積の拡大だけでなく体感の設計が洗練された点です。
PS2世代の広さ体験を語るならSan Andreasの前後で章を分ける価値があります。 

データで確認ー面積だけ見ればPS2は小さい

ここで一度あえて面積の話をします。
San Andreasのゲーム世界は36平方キロとされ、過去作より4倍から6倍規模と説明されています。 
この数字は現代の巨大オープンワールドと比べれば控えめに見えるかもしれません。

さらにGTA IIIVice Cityは総面積の推定値がそれぞれ8.12平方キロ9.11平方キロとして広く引用されています。 
ただしこの手の数値は計測方法によってブレます。
総面積に水域を含めるのか陸地だけを対象にするのかで印象が変わるからです。

重要なのはここからです。
面積が小さいのに広いという逆説が成立するのは、二層目と三層目が強烈に働いたからです。

水域は広さを水増しし同時に体感を歪ませる

Vice City水域が多いことで知られます。
総面積は大きく見えますが移動できる陸地だけで見ると話が変わります。 
この現象は面積ランキング記事が陥りやすい落とし穴です。

面積の数字が同じでも体感の広さは変わります。
陸地が連続している世界は移動の物語が生まれます。
水域で分断される世界は移動が断片化します。
PS2世代の体感広さを語るなら総面積と陸地面積の両方を意識したほうが破綻しません。

霧と視界制御は演出ではなく実用品だった

PS2時代の広さを語るとき、を雰囲気と片づけるのはもったいないです。
San Andreasの霧は描画距離の限界を隠す技術的事情と結びつき、結果としてマップが大きく感じられる錯覚を強化したと指摘されています。 

霧が効く理由は単純です。
遠景が見えるほど人は距離を短く見積もります。
遠景が見えないほど人は向こう側を想像し距離を長く見積もります。

霧は世界の端を隠すだけではありません。
地形と道路のカーブと組み合わせることで到達時間の感覚を伸ばします。
結果として面積以上の体感が成立します。 

ゲート設計が未踏領域を頭の中に確保した

PS2時代のオープンワールドには進行によって行ける場所が増える仕掛けが多くありました。
GTA IIIで島が段階的に解放される仕組みは有名で、橋やトンネルが使えない状態が意図的に作られています。 

行けない場所がある時点でプレイヤーの頭の中に未踏の領域が確保されます。
未踏が残る世界は面積が小さくても心理的に大きくなります。
この心理効果は現代でも使われますがPS2時代はハード制約と相性が良く、特に強く働きました。

情報が少なかったから世界が膨らんだ

PS2時代は情報環境がいまほど整っていません。
発売日に全マップが解析され境界線が共有される時代ではありませんでした。
攻略本や雑誌、掲示板の断片情報をつなぎ合わせてプレイヤーは世界の全体像を想像します。

この想像こそが広さを増幅します。
確定情報が少ない世界はプレイヤーの頭の中で勝手に拡張します。
現代は便利さと引き換えに未知の余白が減りました。
その差がPS2の広さを記憶の中で巨大化させます。

PS2の広さは不便さの総量で決まっていた

ここまでの話をまとめるとPS2の体感広さは不便さの総量です。
不便という言葉はネガティブに聞こえますが体験としては武器になります。

地図が貧弱で目的地が曖昧で遠くが見えず移動が遅い。
この条件がそろうと移動は単なる移動ではなく旅になります。
旅は記憶に残り記憶は空間を広く再構成します。

GTA IIIはなぜ8平方キロでも巨大だったのか

GTA IIIの総面積は推定8.12平方キロと語られます。 
数字だけ見れば小さいです。
それでも当時のプレイヤーはあの都市を広大だと感じました。

理由は三つに絞れます。
1.橋で区切られた島構造が未踏を頭の中に残した点
2.視界と路地の作りが直線移動を許さず到達時間を伸ばした点
3.当時の情報環境が都市の境界を曖昧にしていた点

この三つが重なると体感広さは簡単に面積を超えます。
GTA IIIはPS2時代の体感設計の基礎教材です。

Vice Cityはなぜ同規模でも印象が違うのか

Vice Cityは推定9.11平方キロという数字がよく出ます。 
ただし水域が多く総面積と遊べる陸地の感覚がズレやすいタイプです。
そのため人によって広いとも狭いとも感じやすい作品になります。

面積が近いのに体感が割れるのは地形と移動の物語が分断されるからです。
島構造は景色を変えます。
一方で連続した大地のような長距離の物語は作りにくいです。
PS2の体感広さは面積より移動の物語で決まることが見えます。

San Andreasはなぜ伝説になったのか

San Andreasの世界は36平方キロと説明されます。 
この段階で面積そのものも明確に大きくなります。
それでも伝説になった理由は面積の増加だけではありません。

霧で遠景を抑え山と谷とカーブで直線距離を体感距離に変え、都市間に空白を置いて旅を強制します。
この仕掛けは霧が弱まった版で体感が変わったという指摘からも逆算できます。 
San AndreasはPS2の制約を逆手に取り体感のスケールを意図して作った作品でした。

PS2時代の和ゲーが持っていた別の広さ

PS2の広さは必ずしも地図の平方キロだけではありません。
日本のタイトルは面積で勝負せず密度と生活感で体感を作る方向に寄ることが多いです。

狭い街でも入れる場所が多い。
会話が多い。
時間帯で表情が変わる。
寄り道が多い。

この設計は平方キロとは別の意味で世界を広くします。

現代オープンワールドが広いのに狭く感じる理由

現代のオープンワールドは地図が最初から完成しています。
目的地はピンで示され距離は数値で出て移動は高速でワープもある。
この親切さは体感の三層目を縮めます

把握できる世界は管理できる世界になります。
管理できる世界は広く感じにくいです。
PS2の広さは把握できなさの量でした。
現代はその逆です。

PS2の広さは制約が生んだ勝利だった

PS2時代のオープンワールドが広く感じた理由は懐古ロマンではありません。
32MBメモリ級の制約が視界制御とゲート設計と情報制限を必然にし、その必然が未知の余白を生みました。 
未知がある限り世界は脳内で拡張します。
その結果面積が小さくても体感は巨大になります。

広さとは平方キロではありません。
広さとは迷える余白の量です。

くまおの視点👀

若い頃からオープンワールドの広さを検索し続けた人ほどPS2時代の広さに特別な感触が残っているはずです。
あれは世界が大きかったというより自分が小さくて世界の全体像が見えなかったという体験です。
一番広い世界はマップが大きい世界ではなく、迷っても終わりが分からなかった世界です。

All Write:くまお
The greatest open worlds are the ones that still feel unexplored in your memory.

参考資料・出典

各ゲームのマップ面積データは公式発表や有志の検証値を参照、中心に記載しています。
また、一部作品の体感的な広さ・設計意図については開発者インタビューや有識者のノート記事などを参考に補足解説を行いました。

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