隠蔽された真実を暴いたのは誰か!3.11で奮闘したねらー。「ネット職人」たちの情報戦

2011年3月11日の東日本大震災と福島第一原発事故。国内報道と海外報道の情報格差、SPEEDI問題、海外情報を翻訳したネットユーザーたちの活動を追います。 The hidden information war after 3.11. Explore Fukushima, overseas media reports, SPEEDI and the anonymous online translators who shared critical information.

2011年3月31日…
日本列島が未曾有の複合災害の恐怖に震えていたその時、情報空間の裏側ではもうひとつの静かなる戦争が繰り広げられていました。

福島第一原子力発電所の炉心溶融という致命的な危機が刻一刻と進行しているにもかかわらず、国内のテレビ画面には無機質な公共広告のメロディとどこか現実味のない言葉が繰り返されていました。

直ちに健康に影響が出るものではありません

政府のスポークスマンが記者会見で繰り返す言葉と大手メディアが流す「パニックを防ぐための報道抑制」の裏側で国民の知る権利は完全に踏みにじられようとしていたのです。
※それ自体を否定するものではありません。

衆院の議事録では枝野氏自身が2011年3月11日から最初の2週間で39回会見し、そのうち「直ちに人体あるいは健康に影響がない」と発言したのは7回だったと説明しています。さらにその5回は食品・飲料についての説明だったと答弁しています。

政府事故調の整理でも枝野氏が3月16日と19日に「直ちに人体に影響を及ぼすものではない」という趣旨の説明をしたこと自体は確認されています。
科学技術振興国際機構より

国家の中枢と既存メディアが情報統制のベールに包まれる中、日本の命運を分ける真実のデータを引きずり出し日本語へと翻訳し続けたのは霞が関のエリートでもテレビ局の報道記者でもありませんでした。

それはネットの海に潜む名もなき語学堪能なボランティアたち、いわゆる「翻訳板職人」の集団だったのです。そう、2ちゃんたちのオタクたちが…。

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記者クラブの機能不全と大本営発表の罠

震災直後の数日間、日本のテレビ報道を見ていた人々は異様な違和感と底知れぬ不信感を抱きました。

政府の発表をそのまま垂れ流すだけの「記者クラブ制度」の弊害が極限まで露呈し、現場の深刻な状況が意図的に矮小化されて伝えられていたからです。

メルトダウンという最悪の事実が水面下で進行しているにもかかわらず「冷却機能に問題が発生しているがコントロール下にある」といったお茶を濁した解説が続きパニックを恐れるあまり正確な危険度が伏せられていきました。

テレビ局のスポンサーが一斉に撤退し画面の隅でACジャパンのCMが延々と「ポポポポ〜ン」と流れ続ける異様な空間の中で国民は暗闇の中に置き去りにされました。

信頼できるはずの国内メディアが機能不全に陥ったとき、私たちは自分たちの身を守るための羅針盤を完全に失いかけていたのです。

なお、福島県の公式調査では3月12日23時54分から3月16日9時45分までの間に県災害対策本部がSPEEDI試算結果を86通受信していたことが確認されています。

そのうちUSBメモリや印刷物として残っていたのは21通で、65通について電子メールの残存記録がなくなっていたとされています。福島県庁より

また、FNAAの福島原子力事故関連情報アーカイブには3月15日3時30分配信のSPEEDI計算図形など当時のデータそのものが保存されています。FNAAより

海の向こうの一次情報を最速で手繰り寄せた翻訳職人たち

その致命的な情報の空白地帯に、驚異的なスピードで風穴をあけたのが、インターネット上の翻訳系掲示板に集まったエリートたちでした。

おいみんな、国内メディアの発表を鵜呑みにするな!BBC、CNN、ロイター、ル・モンドの方が衛星画像と米軍データを使ってガチンコで最悪のシナリオをリアルタイム報道しとるぞ!

英語、フランス語、ドイツ語の一次ソースに直接アクセスできるネットの有志たちが海外の専門家による警告や気象シミュレーションのデータを次々と入手し始めました。

CNNの2011年3月12日の記録では福島第一について「meltdown」をめぐる情報が報じられています。重要なのはCNNも即座に「メルトダウン確定」と断定していたわけではない点です。

彼らは一文字も漏らさず寝る間も惜しんで爆速で日本語に翻訳し、スレッドへと投下し続けたのです。

仕事早すぎるやろ職人!国内テレビが『直ちに影響はない』をエンドレスリピートしとる間に海外の一次情報と風向きデータ全部持ってきてくれた……これで家族をどっちの方角に避難させればいいか判断できる……!

当時の被災者や首都圏の住民にとってその翻訳テキストはまさに命綱そのものでした。

何が記者クラブか、何が大手メディアか。本当に私たちの命を救い自衛のための判断材料を与えてくれたのは、霞が関の発表でもテレビの解説でもなくネットの向こう側にいた名もなき翻訳職人たちのボランティア精神でした。

分散型ネットワークが中央集権の隠蔽をぶち破る

工学的・情報学的な視点で見てもこの瞬間に起きた出来事は、メディアの歴史における巨大なパラダイムシフトでした。

中央集権的な国家権力とそれにぶら下がる大手マスメディアが「情報をコントロールして民衆を誘導しよう」と試みた昭和的な情報統制は高度に発達したインターネットの分散型ネットワーク(P2P的集合知)の前にあまりにも無力に砕け散りました。

一次ソースへのダイレクトアクセス

従来の報道は「記者」というフィルターを通した二次情報、三次情報がすべてでした。しかしインターネットと語学力を持つ個人が結びつくことで海外の学術論文やIAEAの公式発表、米軍の観測データに誰でも直接アクセスできる環境が整いました。

検閲不能のピア・レビュー空間

この翻訳のニュアンスは合っているか」「元の論文のグラフの数値はこうなっている」といった精査が、掲示板のリアルタイムな書き込みの中で何万人ものユーザーによって即座に行われました。国家のプレスリリースよりもネット上の集合知の方が圧倒的に精度が高く、スピードも早かったのです。

ひろゆき氏がのちに「英語が読めるニートたちが海外のニュース翻訳して『あ、これ普通に炉心溶融してますね』って5分でバレる時代に、昭和のノリで情報統制できると思ってた政治家とテレビ局、普通にネット社会を甘く見すぎてて滑稽でしたよね」と冷徹に指摘せんばかりの、隠蔽工作そのものが無意味な時代に突入していたことをこの事件は証明していました。

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くまおの視点👀

東日本大震災の混乱期にネットの翻訳職人たちが成し遂げた偉業は単なる「海外ニュースの速報」にとどまりません。

それは国家が危機に瀕したとき公的機関の発信する「安心のための嘘」がいかに危険であるか、そして市民一人ひとりが国境を越えた一次情報にアクセスし、自ら考えることの重要性を私たちに教えてくれました。

現代の私たちが生きる情報社会はSNSのフェイクニュースやアルゴリズムによる情報の偏りに満ちあふれています。しかし、だからこそ3.11のあの夜、暗闇の中で文字を訳し続け命のデータを繋いだ人々の存在を忘れてはなりません。

真実を求める意志とそれを共有し合うネットワークの強さこそがどんな巨大なシステムよりも頼りになる最強のインフラなのです。

この命を救った情報戦の裏側についてあなたはどう感じましたか?

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